自営業者様にカスタムPCの選定を行う

 以前の記事 DELL Optiplex GX280 故障のため訪問 の続き。

 DELL Optiplex GX280の電源部分から発煙したとの報告を受け、当方で引き取って動作確認したところ、電源部分のほかにハードディスクも故障しており、修理するより新しいPCに入れ替えることをお勧めしたところまで話した。

 現状のお客様のパソコンまわりは、上の図のように、2台のマルチモニター、バーコードリーダー、着信電話番号で顧客管理するCTIシステムのアダプター、入出金の際に使用するキャッシュドロアがぶらさがる構成になっていた。シリアルポートを2個使用するのが特徴である。キャッシュドロア用シリアルポートは、PC購入時にオプションで取り付けたDELL製の専用増設ボードが取り付けられていた。

 今回選定したPCは、すでにマルチモニター対応になっているので、VGA-USBアダプターは使用しない。またシリアルポートは付いていないか、付いていても1ポートのみなので、必ず増設ボードを用意した(USB-シリアルポート変換アダプターも入手できなくはないが、配線がスマートにならないため採用せず)。PCIe x1接続 RS232C増設ボード 2ポート Lo-Profile対応 AREA SD-PE9901-2SL を採用した。

 依頼者の業務に適したパソコンを、DELLを含むBTOパソコンメーカー3社のものと、当方が組上げたもの、の計4つの中から選定していただくことにした。メーカーPCはカスタマイズが限られ、寸法も適切なものが少なかったため除外した。DELLの他のBTOパソコンメーカーとして、ドスパラとマウスコンピューターを選択肢に入れた。
 選定の基準は、寸法と仕様と価格。
要件としては、ディスプレイ2台で表示でき、シリアルポートが2個付いていること。付属機器を使用する上での互換性を考慮し、windows7はProfessionalで32bit版にした。

現行OptiplexGX280 Optiplex990 SFF マウス MousePro-iS221S-0501 ドスパラ Prime Slim Magnate IS 当方組上げPC
高さ 319 290 330 330 265
90 93 96 96 100
奥行(足含まず) 354 312 394 395 365
PCIe×16(カッコ内はボード増設後) 1(1) 1(1) 1(1) 1(1) 1(0)
PCIe×1(カッコ内はボード増設後) 0(0) 1(0) 3(2) 1(0) 0(0)
PCI(カッコ内はボード増設後) 1(1)スロット干渉の為使用不可 0(0) 0(0) 2(2) 0(0)
電源 160W 240W 300W 300W 300W
USB3.0 なし なし 背面2 なし 背面2
USB2.0 背面6前面4 背面6前面4 背面4前面2 背面4前面4 背面4前面2
シリアルポート 2 1(増設後3) 0(増設後2) 0(増設後2) 0(増設後2)
VGAコネクタ
DVIコネクタ × ×
DisplayPort × × × ×
CPU Pentium4 540J core i5-2400s core i5-3550 core i5-2400s core i5-2400s
windows xp pro 32bit 7 pro 32bit 7 pro 32bit 7 pro 32bit 7 pro 32bit
メモリ PC2-4200 1Gx2 PC3-10600 2Gx2 PC3-12800 2Gx2 PC3-10600 4Gx1 PC3-10600 4Gx1
HDD 160G 7200rpm 500G 7200rpm 500G 7200rpm 500G 1T 7200rpm
マザーボード intel 915G intel H61? intel B75 intel H61 intel H61
グラフィック 内蔵1系統 内蔵2系統 内蔵2系統 内蔵2系統 内蔵2系統
光学ドライブ DVDスーパーマルチ DVDスーパーマルチ DVDスーパーマルチ DVDスーパーマルチ DVDスーパーマルチ
価格 161,832 70,770 67,606 102,018

 ◎まずは寸法。DELLのものが一番コンパクトなのだが、価格が高いのと、先に電源から発煙したショックが大きいのが有って、選択肢から除外。
 当方が組上げるPCは、BPOメーカーのものより高さと奥行きを小型化できるのだが、価格が全般的にメーカーに劣るため、お勧めはしなかった。
◎電源は余裕のあるものが必要でしょう。特に電源を消費するものも無い為、スモールサイズのPCで標準の300Wのもの。
◎USB3.0は、今後のことを考えると外付けハードディスクに接続するなら、できれば欲しい仕様。
◎CPUは、高性能なものは特に必要なし、ということで、core-i5搭載モデルからの選択。今回は、新世代 ivy-bridge の core i5-3550 と、sandy-bridge の core i5-2400s の2択だったが、が、出たばかりのivy-bridgeよりも技術的にこなれている、省電力型であること、の理由で、core i5-2400s 搭載モデルを選んだ。
◎結局、ドスパラのPrime Slim Magnate IS に決定した。(注:5/20現在 上記スペックのPCは発売されていません。core i5-3450,3550,3570T搭載モデルに置き換わっています。)

  

DELL Optiplex GX280 故障のため訪問

(公開:2012/5/15)

 岐阜県大垣市の自営業者様への出張サポート。DELL Optiplex GX280 (スモールファームファクター[SFF]タイプ)の電源が故障したとのこと。このパソコンは従業員の勤怠、顧客管理、売上管理をデータベースソフトを使って行っている、重要なものだった。依頼者様曰く、「以前から時々起動したりしなかったりしていた」とのこと。それが今回の故障に至ったという。
 依頼者様のところにて、故障しているパソコンに近づくだけで結構な異臭がした。電源ユニット付近からだった。筐体の通気口の穴の開いた部分に炭が付着していた。とても出張先で修理できる状況ではなかったので、一旦故障機を引き取った。移動中の車の中で異臭が充満して大変だった。

 電源ユニットを分解してみると、こんな状況。なるほど、強烈なにおいがするわけだ。

 今回の依頼は2つ。(1)当座をしのぐために用意したPCで、勤怠、顧客管理、売上管理をなるだけ出来るようにしてほしい (2)故障したPCを修理してほしい、の2点。

 1点目について。依頼者様のほうで試みたが出来なかったため、私どもに依頼された。勤怠、顧客管理、売上管理の各モジュールは Access2003 VBA (連動するキャッシュドロアを開くためのモジュールは VisualBasic6)で組まれており、それらの全てが、Cドライブのルート直下のフォルダに格納されていた。電源が壊れたPCの故障の予兆が見られた時に、自分でフォルダーごとバックアップをとってあったそうで、それを当座用PCにコピーして動かしてみたら、「データベースが壊れています」というメッセージが出て異常終了してしまったというのだ。(データベースを開いたままでコピーする等しない限り)フォルダーをコピーして貼り付ける作業で、データが壊れるなんてことは考えにくい。当方でも、故障PCのデータを取り出して試してみることにする。
 使い物にならなくなった電源の代わりに、試験用の電源を、故障したPCのマザーボードにつないだところ、とりあえずwindowsは動作した。マザーボードまでは壊れていなかったようだ。
 でも、何か変だ。どのアプリケーションが吐き出しているのか知らないが「データが破損し、使用可能な領域が減少している」旨のメッセージが現れる。何だか気持ちが悪いので、このハードディスクのデータのサルベージを行った。若干の読込不良の劣化セクタが見つかったが、ほぼ完璧にサルベージを行えた。ハードディスクも壊れていないように見えた。
 だが、そうではなかった。今度はwindowsが起動しなかった。マザーボードがハードディスクを認識していなかった。ハードディスクを別のパソコンに接続しても認識したりしなかったりしていた。
 サルベージしたハードディスクから、データベースフォルダーをコピーし、当座用パソコンに移動させたところ、問題なく勤怠、顧客管理、売上管理のモジュールを動かすことができた。

 2点目について。電源交換とハードディスク換装の見積もりをお出しする一方、今後の保守のことを考え パソコンの買い替えをお勧めした。結果、パソコンの買い替えをすることになった。引き続き、パソコンの選定と設置を承ることになった。

Ivy Bridge 採用PC について

【2~3年前の機種から変わったこと】
・CPUにグラフィックスが内蔵され、構成が簡単になった
  ~2~3年前のCPUには内蔵されていなかった
・メモリアクセスの高速化が図られた。DDR3-1600(PC3-12800)に対応(高速化)
  ~これまでは、一般的にDDR3-1333(PC3-10600)止まり
・CPUとサウスブリッジ間を結ぶバスの広帯域化。4GB/秒(高速化)
  ~2~3年前のチップセットでは、2GB/秒
・外付けビデオカード用バス PCI express 3.0 x16 (32GB/秒)に標準対応(高速な新規格に対応)
  ~これまでは、PCI express 2.0 x16 (16GB/秒)
・SATA 6Gbps対応。PCIe 2.0 x1 の帯域 が、標準で 5Gbps に対応 (高速化)
  ~2~3年前のチップセットでは、SATA 3Gbpsが標準。PCIe 2.0 x1 の帯域は 2.5Gbps程度のものが多かった
・チップセット標準で USB 3.0 に対応 (高速な新規格にチップセットとして対応)
  ~これまでは、USB3.0はチップセットの標準仕様でなかった。
・thunderbolt(外付け機器との接続インタフェース)にチップセットとして対応(高速な新規格に対応)
  ~今回はじめて採用された。USB3.0より高速な規格(USBとは互換性はない)
・内蔵グラフィックの性能向上

 これらにより、次のようなことが期待される。
・内蔵グラフィック、USB3.0、PCIeなどが標準で搭載されることによる、部品点数減、信頼性向上。
・メモリやサウスブリッジとの間のデータ転送速度の向上。PC全体のパフォーマンスアップ。
 内蔵グラフィックの性能も向上している。
・将来普及するであろう、PCIe3.0対応の外付けビデオカードに接続可能。
・複数のDisplayPort端子を持つマザーボードを使えば、3台のモニターに表示可能。
・Thunderbolt端子を持つマザーボードを使えば、年内に出るであろうThunderbolt対応機器に接続可能。

【次に該当する場合はIvy Bridgeをあえて買う必要はない】
・外付けグラフィックボードは、汎用機種で十分だ → 型落ちの Sandy Bridge がおすすめ
・DDR3-1333(PC3-10600)のメモリを流用したい → 型落ちの Sandy Bridge がおすすめ。とにかくコア数の多いCPUにしたい、USB3.0は若干遅くても構わない、格安品がほしい、という方は、Ivy Bridge の core-i5 搭載品に飛びつくよりは、core-i7 800番台を用いたカスタマイズPCを購入する手も有り。(当店では現在販売しておりませんが、ネットで調べると販売業者多数有ります)

【その他の注意点】
・Ivy Bridge CPU は、発売後にCPUチップ内での排熱が効率的に出来ない問題が表面化している。今後リコール含みで改良品を出すか、仕様としてこのまま通すか、CPUメーカーの対応が注目される。メーカー推奨の使い方では問題ないという話もあるが、いずれにせよ想定外のことが起きているようなので、それを承知で購入するか、しばらく様子見するか、ご判断ください。CPUのオーバークロックをするつもりの方は、しばらく待った方がよろしい。